生命の恒常性維持に不可欠なリン脂質代謝の異常に起因する
疾病のメカニズムを解明し、医療に貢献し得る成果に繋げたいと考えています。
ゲノム病態医科学研究室HPにご訪問頂き有り難うございます。
東京大学医科学研究所からここ東京薬科大学生命科学部に着任し、12年が経ちました。学部長も4年目、卒業生も多くなり、すっかり学部に根付いてきました。一昨年度ゲノム病態医科学は、生命科学部が2学科制から3学科体制に変更したのに伴い、分子生命科学科から生命医科学科に移動しました。同時に、「ゲノム」の愛称を残しながら、研究室の名前も「ゲノム病態医科学研究室」に変更しました。気持も新たにがんばっていきたいと思っています。
さて我々の研究室では、細胞膜直下の情報伝達系の1つイノシトールリン脂質代謝を介した上皮系組織・細胞の増殖と分化制御とその破綻がもたらす病態発症のメカニズムに注目しています。イノシトールリン脂質代謝は細胞内カルシウム濃度を調節する事から、多岐に渡る重要な生命現象に関わっています。個体の発生や組織の再生において、組織幹細胞の増殖・分化制御は非常に重要ですが、我々は特に細胞の増殖・分化が盛んな皮膚組織と、増殖・分化制御不全であるがん細胞の悪性化機構に興味を持っています。生命の恒常性維持に不可欠なリン脂質代謝の異常に起因する疾病のメカニズムを解明し、医療に貢献し得る成果に繋げたいと考えています。
私は「サイエンスは遊び心」だと思っています。子供の頃の ”何故だろう”、 ”こういうことができたら良いなあ” “こんなのがあったら便利でいいなあ、”を形にしていくことです。実験・観察する中で、小さな事でも自分で不思議なことを見つけることは楽しいものです。本来の実験の目的は上手くいかなかったけれど、予想外の奇妙な事が起きて、、といった副産物から生まれる発見が重要です。
研究室は若く元気な学生さんが多く、こうした未来の中軸を担う人材育成も我々の重要な仕事です。夢を持ちながら、真摯に一緒に研究していきたいという学生さんを歓迎します。